モロッコ・マラケッシュで11月7日から開催されているCOP22も最終日を迎えた。もめにもめた資金支援、技術メカニズムなども含め、一応、結論を得たが、目玉のCMA(パリ協定実施のための締約国会合)をめぐる交渉はもめにもめている。パリ協定の発効が思いのほか早く叶ったことで、どうしても各国の準備不足は否めないのだが、「次回はいつするのが適当か」「その際に“何を”行うのか」という、中身よりもプロセスをめぐり、各国が真っ向から対立している。モロッコ政府と議長団もとても頑張っているのだが、昨年、パリ協定を可能にしたフランスの老獪な外交手腕に比べると、強引さに欠け、また調整能力にも欠けている気がする。本来ならもう18時には終わっているはずなのだが(といっても今まで21回のCOPが時間通りに終了したことはないが)、CMAをめぐる交渉はまだまだ続く見込みだ。(明日の朝までぶっ続けかな)
今はCOPの閉会会合に出席しているが、来年の議長国はフィジーに決まった(開催はドイツ・ボン)。また2018年のCOP24は、またまたポーランドでの開催となった(それも12月に!ご参考までに、1998年、2008年、2013年に続き4度目)。フィジーの首相からは、アメリカの次期大統領トランプ氏に対して、「決して地球的な問題に取り組む世界のコンセンサスを壊すことがないように!」と繰り返し述べられ、会場から(米国代表団も含め)大きな拍手で迎えられていたのは印象深かった。
今回の会合は、パリ協定の発効、トランプ氏のアメリカ大統領選挙の勝利に始まるジェットコースターのような様相だったが、交渉の中身といえば、どの議題もとても緩い雰囲気で進められた気がする。それなりに各議題ではもめてみるのだが、今回の会合で絶対に決めないと困る!というものは、私が議長を務めた事務局の予算への各国の貢献配分割合の見直しぐらいで、ほかは「まあ来年でもよいか」と言われるような内容だった。それゆえかは知らないが、マラケッシュ・コール、Pathway2025, CTCN(気候変動技術センターとネットワーク)への追加支援、NDC Partnership (各国の削減努力の実施のためのパートナーシップ)といった交渉以外のところで盛り上げるしかなかった気がする。
あと少しでCOPも終わるだろうが(CMAがまだまだ続きそうなので、いつ終わるかは不明)、嵐は来年、トランプ氏がアメリカ大統領に就任した後にやってくるかもしれない。そうなると、来年以降の気候変動交渉は大荒れになるかもしれない。米国の気候変動対策への影響についてはまた別に書きたいと思うが、パリ協定が実際にその実施を始める2021年1月の道のりは結構面白いものになるかと思う。