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COP22とはどのような会議だったのか(1)

11月7日から18日までモロッコ・マラケシュで開催されたCOP22に今回も日本政府代表団の一員として参加させていただいた。パリ協定が、大方の予想に反して、その号から1年足らずで発効することになり、今会合からCMA 1(パリ協定第1回締約国会合)も開催されることとなった。会議直前の11月4日に正式にパリ協定は発効したが、日本ではニュースでも多く取り上げられたように、批准が遅れてしまい、締約国としての参加には間に合わない結果になり批判の声も多かったが、そのCOP22/CMP12/CMA1とはどのような会合だったのだろうか。COP22を私なりに表現すると、交渉そのものは気のせいか少し緩い雰囲気で進められたが、会議全体はお祭りとショックが入り混じったジェットコースターのような心境であった。初日はパリ協定の発効を祝う祝賀ムードで幕を開けた。今年夏に新たにUNFCCC事務局長に就任したエスピノサ元メキシコ外務大臣は「めでたい」と祝意を述べる一方、「本当に大事なのはパリ協定の実施」と、COP22で行われる交渉に対して大きな期待を寄せた。まだこの日は数日後に訪れるショックを予想することなく、皆、歴史的快挙とされたパリ協定が、その合意から1年を経ずに発効したことを心から祝っていた。ただ、この予想外に早い発効ゆえ、各国とも(おそらく事務局も)CMAにおいて具体的な“ルール作り”の議論を行う準備はできていなかったように思われる。ゆえに、会期中、旧来の主張を繰り返すか、もしくは、パリ協定の内容(精神)に反する、チャレンジするような内容の発言を行う途上国が多かった(サウジアラビア、中国などは、もしかしたら意図的にそうしていたのかもしれない)。とはいえ、パリ協定発効を受け、各国政府はもちろん、それぞれのステークホルダーも明るい未来が開けると希望を抱いてCOP22は始まった。

(つづく)

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島田 久仁彦 (しまだ くにひこ)

1975年生まれ。大阪府出身。国際ネゴシエーター。株式会社KS International Strategies CEO。経済産業省参事。同志社大学、アマースト大学を経て、2002年ジョンズ・ホプキンズ大学大学院国際学修士。国際情勢、環境・エネルギー問題の専門家。1998年より国連紛争調停官としてコソボ、東ティモール、イラクなどの紛争調停に従事。2005年から環境省国際調整官(2010年11月から2016年3月までは環境省参与)として、気候変動交渉で日本政府代表団リード交渉官と交渉議題の議長を歴任。2012年世界経済フォーラムYoung Global Leaders 2012に選出される。現在、CNN、BBC、France2など海外メディアに出演し、国際情勢、安全保障問題、環境・エネルギー問題などのコメンテーターを務めている。活動は安全保障・外交問題、エネルギー、環境問題にとどまらず多岐にわたる。主な著書に『交渉プロフェッショナル』(NHK出版)、『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』(かんき出版)などがある。

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