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フランス大統領選挙の行方:ルペン大統領誕生とEUの終焉?!

「ルペン大統領が誕生ならEU離脱から世界経済大混乱も」(http://diamond.jp/articles/-/110231)というDiamond Onlineでの記事を読んだ。私なりの考えを述べたいと思う。

 

Marie Le Pen女史が大統領になるというシナリオは普通では考えられないことだが、トランプ氏もそう言われていただけにこればかりはわからない。また、若年層の失業率が一向に良くならないことに鑑みると、”現状への不満”が確実にフランス社会に溜まっていることは事実だろう。

普通にいけば、元首相のFrancois Fillon氏が優勢だろうが、オランド大統領の不出馬を受けて、現在オランド政権中枢を担うVals首相あたりが左派から出てくるとなると、大統領選(2017年4月から5月)はまた混沌とした争いになるだろう。それでも現状に嫌気がさしているとの意見が多数であれば、Fillon氏の優位は揺るがないと思われるが、Le Pen氏とFront Nationalの選挙戦の運び方次第では、Le Pen氏とFNは、意外に多くの票を集めることになるだろうと思われる。

イタリアの政局もEUの未来を占ううえで、特にEUの結束という意味で、非常に重大な内容だが、フランスの政局はさらにその上をいく重要性を持つ。もしBrexitならぬ、Frexitとでもなれば、確実にEUは弱体化するのみならず、その運命に幕を下ろすことになるかもしれないからだ。年明けからEU各国での総選挙が次々に起こることになるが、3月のオランダ総選挙を皮切りに、国民主義政党が躍進するかで、どれほどEU市民EU統合に不安もしくは反対の意を示すかが見えてくるだろう。そしてその直後のフランス大統領選挙で、大統領にはならないまでも、仮にFNが勝ち、議席数を大幅に伸ばすことになるようなことになると、確実にフランスはEU統合の雄としての立場から降り、EU全体に暗い影を落とすこととなる。そして9月のドイツ総選挙で、メルケル首相が仮に再選(つまりキリスト教民主党-CDUとその連立であるCSUが第1党の地位を守る)されたとしても、国粋主義政党・反移民・反EU政党が躍進したなら、EU統合はストップするか大きく後退することになる。再度、地域ブロック化する世界に私たちは直面することとなる。

 

その危険を回避できるか否かは、EU各国の国民の判断にゆだねられている。

by

島田 久仁彦 (しまだ くにひこ)

1975年生まれ。大阪府出身。国際ネゴシエーター。株式会社KS International Strategies CEO。経済産業省参事。同志社大学、アマースト大学を経て、2002年ジョンズ・ホプキンズ大学大学院国際学修士。国際情勢、環境・エネルギー問題の専門家。1998年より国連紛争調停官としてコソボ、東ティモール、イラクなどの紛争調停に従事。2005年から環境省国際調整官(2010年11月から2016年3月までは環境省参与)として、気候変動交渉で日本政府代表団リード交渉官と交渉議題の議長を歴任。2012年世界経済フォーラムYoung Global Leaders 2012に選出される。現在、CNN、BBC、France2など海外メディアに出演し、国際情勢、安全保障問題、環境・エネルギー問題などのコメンテーターを務めている。活動は安全保障・外交問題、エネルギー、環境問題にとどまらず多岐にわたる。主な著書に『交渉プロフェッショナル』(NHK出版)、『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』(かんき出版)などがある。

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