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『脱原発』は日本にとって適切な道筋か

NewsPicksの記事へのコメントでも書きましたが、世界を見渡せば、原子力発電は、脱原発に進むどころか、次々と新規建設されているのが現実のようです。(https://newspicks.com/news/1971413/body/?ref=index)この記事を読み、私なりの考えを述べてみました。

世界中で原子力発電所の新設が続いている。

これが原子力発電をめぐる世界の趨勢でしょう。
脱原発に踏み切ったのは、記事にもあるように、ドイツとスイス、あとはイタリアでしょうか。

とはいえ、ドイツの脱原発の方針も、政治とエネルギーをめぐる外交の行方によってはわかりません。
福島第一原子力発電所での事故を目の当たりにしても、現在増え続ける飽くなきエネルギーへの需要に応えるためには、現時点では、手っ取り早く安定供給できるオプションとして原子力を選ぶ国がまだ多いということでしょう。また「原子力発電=先進的」というイメージもあるのでしょう。(実際に先進的かは、専門家の皆さんにお任せします)ゆえに、途上国において、原発新設・増設への欲求は収まらないのだと思います。
そこで日本としてどうするのか。
脱原発への動きは、時間軸を見誤らなければ、適切かと考えますが、現在のfactに鑑みて、今、すべてを止めてしまう・廃止してしまうのは総合的に見てはあまり賢明とは言えないかもしれません。ベースロード電源としての位置づけという直接的な観点に加え、日本は世界トップレベルの原子力発電にかかる技術とノウハウを持ち、また福島第一原発事故もありましたが、トップレベルの安全性能とノウハウ、人材を持つ国でもあります。原発の再稼働もしばらくは時間がかかりますし(状況によってはできないかもしれませんし)、新設・増設もなかなか困難でしょうが、原子力にかかわる”ソフトの部分”での国際貢献は大いに進めるべきエリアです。安全性を高めるための人材育成、ノウハウの提供、そして技術協力などはまだまだトップを走っているエリア。今、ここで日本の原子力を殺してしまうのは、包括的に見てどうかと考えてしまいます。
今回のこの数字を見て、今後日本はどうすべきか。国家的な戦略を考えるべきでしょうね。

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島田 久仁彦 (しまだ くにひこ)

1975年生まれ。大阪府出身。国際ネゴシエーター。株式会社KS International Strategies CEO。経済産業省参事。同志社大学、アマースト大学を経て、2002年ジョンズ・ホプキンズ大学大学院国際学修士。国際情勢、環境・エネルギー問題の専門家。1998年より国連紛争調停官としてコソボ、東ティモール、イラクなどの紛争調停に従事。2005年から環境省国際調整官(2010年11月から2016年3月までは環境省参与)として、気候変動交渉で日本政府代表団リード交渉官と交渉議題の議長を歴任。2012年世界経済フォーラムYoung Global Leaders 2012に選出される。現在、CNN、BBC、France2など海外メディアに出演し、国際情勢、安全保障問題、環境・エネルギー問題などのコメンテーターを務めている。活動は安全保障・外交問題、エネルギー、環境問題にとどまらず多岐にわたる。主な著書に『交渉プロフェッショナル』(NHK出版)、『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』(かんき出版)などがある。

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