Kunihiko Shimada Official Blog 国際交渉人 島田 久仁彦公式ブログ

世界の火薬庫の再来?!-コソボをめぐる新たな懸念

今週に入り、セルビア共和国とコソボ共和国が、”国境線”に面する地区をスワップして、新たな国境線を引くことで、長年にわたって争ってきているコソボの地位問題に決着をつけ、両国念願のEU加盟の条件である「国交正常化」を目指そうという動きが出てきました。

これだけ聞くと「望ましい方向性」と思われる方も多いかと思うのですが、1989年のチトー大統領の死後、一気に分裂に向かい、

1991年から1995年に血で血を洗う争いを繰り返して多くの死者を生み、そして、人間の残酷さを思い知る旧ユーゴスラビア戦争が起きました。実は1991年から、セルビアとその一地方であったコソボ地区との間ではすさまじい緊張が高まっており、1991年にコソボは独立を宣言したのですが、支持したのはアルバニアのみで、実質、独立は幻と消え、代わりに戻ることが出来ないほどの憎悪の塊を生み、90年代後半にコソボ紛争が激化しました。私自身、紛争調停官としての駆け出し時代に担当したのがコソボ紛争の調停と戦後復興で、今でも特別な思い入れがあります。ずいぶんと苦労し、紛争を終結させ、セルビア共和国とコソボが新しい一歩を歩みだすお手伝いをさせていただいたのですが、2008年に急にコソボが一方的に独立を宣言し、それを全面的にセルビア共和国が拒絶したことで、また大きなわだかまりが表面化しました。”独立”を欧米諸国をはじめとする多くの国が支持したことも、セルビア共和国の心情を一層硬化させる結果になりました。

それが今週になって、セルビア共和国とコソボ共和国が歩み寄りを見せ、9月7日にEUのユンケル委員長の仲介の下、ブリュッセルで会談が開かれることになっています。一筋縄ではいかない交渉だと思いますが、”合意内容”によっては、新たな民族・宗教対立を旧ユーゴスラビア諸国にもたらすきっかけを作ってしまうことになるのではないか、と懸念しています。

内情をはじめ、詳しい内容については、9月7日に発行するメルマガ「最後の調停官 島田久仁彦の”究極の交渉・コミュニケーション術」をお読みいただければ幸いです。https://www.mag2.com/m/0001682898.html

 

この記事を書いた人
島田 久仁彦 (しまだ くにひこ) 1975年生まれ。大阪府出身。国際ネゴシエーター・紛争調停官・地政学リスクアドバイザー。Executive Negotiation Coach。 株式会社KS International Strategies CEO。 同志社大学、アマースト大学を経て、2002年ジョンズ・ホプキンズ大学大学院国際学修士。 国際情勢、環境・エネルギー問題の専門家。1998年より国連紛争調停官としてコソボ、東ティモール、イラクなどの紛争調停に従事。2005年から環境省国際調整官(2010年11月から2016年3月までは環境省参与)として、気候変動交渉で日本政府代表団リード交渉官と交渉議題の議長を歴任。2012年世界経済フォーラムYoung Global Leaders 2012に選出される。 現在、CNN、BBC、France2など海外メディアに出演し、国際情勢、安全保障問題、環境・エネルギー問題などのコメンテーターを務めている。 活動は安全保障・外交問題、エネルギー、環境問題にとどまらず多岐にわたる。 2020年4月には、世界的な交渉トレーニングの権威であるThe Schranner Negotiation InstituteのNegotiation Expertに任命された。(https://www.schranner.com/institute/faculty/faculty) 主な著書に『交渉プロフェッショナル』(NHK出版)、『最強交渉人のNOをかならずYESに変える技術』(かんき出版)などがある。また、交渉・コミュニケーション術についての秘訣に加え、最新の国際情勢をぎりぎりまで解説するメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の究極の交渉・コミュニケーション術』(http://www.mag2.com/m/0001682898.html)も発行中。
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